1997-12-06 ArtNo.13091
◆<馬>副首相、経済救済緊急措置発表
【クアラルンプル】アンワル副首相は5日、国内経済が困難に直面している事実を認めるとともに、一連の支出削減と金融管制を通じて1998年度予算を18%削減する方針を発表した。これに伴い来年の国内総生産(GDP)の予想成長率も7%から4~5%に下方修正された。
アンワル副首相はこの日午後大蔵省で緊急記者会見を行い以上の方針を発表した。この他の緊急措置には、1)経常収支の赤字を国民総生産(GNP)の3%に抑える、2)マレーシア/タイ陸橋計画を延期する、3)銀行取り付けを許容する、4)新規上場/株主割当/企業再編計画を凍結する、5)外為取引を規制しない、6)倒産に瀕した企業の救済を銀行に求めない、7)Mドルの軟化で資金難に陥った企業への支援を銀行に勧告する、8)非生産領域への融資を制限する、9)輸出と観光を振興する、10)国民の貯蓄を奨励する、等の点が含まれる。
マレーシアとタイを結ぶ陸橋計画に関してはガス・パイプライン部分だけを実行、鉄道と道路の建設は延期する。アンワル副首相は「パイプラインはどうしても建設する。しかし、それは陸橋計画ではない。一体どこからそんな資金を手に入れるのか」と反問した。同相によると以上の緊急措置は3日の閣議で承認されたと言う。しかしマハティール首相は4日、ランカウィ島におけるセミナーで依然として、陸橋計画を実行する意向を表明、首相の同発言後、Mドルが再度急落した。しかしアンワル副首相の以上の声明を好感して、株価とMドル相場は直ちに回復に転じた。
アンワル副首相は、「今や経済困難を認める時期が来た」、「金融危機は決して、通貨投機業者だけが原因ではない。マレーシアも以前にはヘッジ・ファンド運用者の投資により潤った時期もある」等と述べ、「マレーシアは市場経済制度を支持しており、外為取引を規制する考えはない」と付言した。(ST,BT,LZ:12/6)
|
|