1997-12-04 ArtNo.13058
◆<星>不動産市場規制緩和措置の値下がり歯止め効果は期待薄
【シンガポ-ル】不動産市場観測筋は政府の最近の規制緩和措置は、タイムリーだが、不動産価格軟化の趨勢をストップさせるには、不十分と評している。それによると、域内の経済危機が需要動向に大きなクエッション・マークを投げかけている現状では、景気が回復しない限り、目立った需要の回復は望めないと言う。
政府の土地セールの延期、住宅不動産完工期日の繰り延べ許可、住宅購入後3年内の転売に対する印紙税徴収の停止は、デベロッパーらに歓迎されているが、これらのデベロッパーが主要な関心事とする、バイヤーの呼び戻し効果にアナリストは疑問を呈している。
ファースト・キャピタル・コープ(FCC)は月曜、ブキ・パンジャンのコンドミニアムの価格を12.6%引き下げたが、今日の状況下には大幅な値下げでもない限り、バイヤーの関心を引くことは難しい。不動産コンサルタント会社ジョーンズ・ラング・ウートン(JLW)幹部によると、バイヤーにとっては20%の頭金支払い義務が大きなハードルで、住宅価格の10%の値下げは、こうした頭金支払い負担を2%軽減するに過ぎない。この点からすれば、バイヤーが受け入れうる頭金の額が実現するには、住宅価格の50%の値下がりが必要と言うことになる。したがって短期的に需要が回復する可能性は極めて薄いと言う。
リチャード・エリス幹部によれば、向こう18か月間に価格は更に15%下降する見通しで、立地条件が最良のコンドミニアム以外は平方フィート当たり500Sドル前後まで値下がりしない限り、バイヤーは関心を示さないと言う。
都市再開発局(URA)の統計によれば、1996年5月の投機抑制措置導入以来、民間住宅価格は既に12.8%軟化している。JLWのデータによれば、非土地付き住宅の価格は昨年末の平方フィート当たり825Sドルから1997年末の785Sドルに下降する見通しだ。
政府の土地セールに関しては今年は4900戸分で、これに対して住宅の年間需要は5500~6000戸と見られる。過去6年政府の土地セールは実際の住宅需要の45~60%の水準にあったが、政府は同レベルまで供給を抑制する必要がある。このことは政府の適正な供給量は年間4000戸分前後、即ち1993-94年当時のレベルと言うことになると言う。(BT:12/3)
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