SEAnews 1997-11-29 ArtNo.12997

【シンガポール】シンガポールの電子業界は、昨年見られた年末のラスト・スパートに望みを託してきたが、クリスマスを1カ月後に控えた今となっては、同望みも水泡に帰し、ここ数ヶ月の市況改善をせめてもの慰めとしているようだ。
ＰＣ(ﾊﾟｿｺﾝ)や半導体業界の支援部門は、ディスク・ドライブ産業支援部門に比べ概して良好な成長を享受している。また最終製品が米国市場に輸出される部門に属する企業も、欧州やアジア諸国向け製品の製造部門に比べ強い需要に潤っている。
ＰＣ業界向け精密部品を製造する某企業の幹部は、今年のクリスマス・セールは昨年を10～15％上回るが、昨年のクリスマス・セールは1995年のそれを20％下回ったことから、まだ挽回には至っていないと語った。
半導体業界の某サプライヤーによると、出荷量は年率約40％の拡大を見ているが、価格は低調で、メモリチップは持続的な下降を見ている。
シゲートのサプライヤーは、同社の受注にはまだクリスマスの影響は見られないと語った。しかしディスク・ドライブ業界に精密ゴム部品を供給するサプライヤーはクリスマスに向けて受注が10～15％増加したと語る。それによると同社はニッチ製品を供給しているため、競争者が少なく、また元々低価格なため、値下げの恐れもないと言う。
来年の業況に関しては、懸念と期待が交差する複雑な心境が表明された。某精密部品メーカーの幹部は域内諸国の通貨が引き続き値下がりするなら打撃を被らざるを得ないと不安を訴えた、(BT:11/28)