1995-01-13 ArtNo.129
◆<馬>ウィンテック、域内のスチール・ジャイアンツに
【シンガポール】クアラルンプル証取(KLSE)上場の鉄鋼会社ウィンテック・ホールディングズBhd(WTH)はマレーシアの著名な実業家ジョセフ・チョン氏とリュー・シップホン氏を専務取締役(MD)及び会長に迎え、域内スチール・ジャイアンツへの道を歩みだしたようだ。
クアン一族のファミリー・ビジネスであった92年には前年比66%減の510万Mドルの純益しか計上できなかったWTHは、チョン、リュー両氏が采配を握った93年度には1210万Mドルに利益を倍増させた。これは主に価格や為替相場変動の影響を受けやすい鉄鋼事業への過度な依存が是正されたためと見られる。チョン氏によれば今年7月末締め年度の税引き前利益は前年の1370万Mドルから4000万Mドル以上に拡大が見込める。しかし向こう数年間には域内事業の拡大を通じて更に顕著な業績の改善が期待できる。WTHは目下フィリピンの国営会社ナショナル・スチール・コーポレーション(NSC)の買収を提案しているが、同提案が認められれば、NSC増資後の55%の権益買収とその後24カ月以内に更に40%のシェアを買い増すオプションを手にすることができる。最初の55%の権益取得だけで12億Mドル以上(1株当たり10ペソ)の資金が必要とされるが、同社は95%の権益を取得後、50%の支配権益を留保して残りの45%は1株当たり15~40ペソで公開する計画のため、実質買収コストは4億Mドル前後に収まる見通しだ。しかしそれにはNSCを単にフィリピン最大の鉄鋼会社だけでなく、最も好収益を上げる企業に再編せねばならない。チョン氏はスチール・スラブから冷間圧延製品までの一貫製造を手掛け、最も先進的でコスト効率のよいCorexシステムを採用することより、同社の純益を昨年の僅か1億ペソ(S$588万)から97年には40億ペソに拡大できると予想する。これにはパイオニア・ステータス等の優遇措置を通じた節税や各種証券/ワラントの組み合わせによる資金調達コストの引き下げも貢献する見通しだ。(BT:1/12)
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