1997-10-08 ArtNo.12324
◆<星>住宅不動産外人バイヤーへの通貨危機の影響は限定的
【シンガポール】インドネシア通貨ルピアがSドルに対して20%以上値下がり、マレーシア通貨リンギも2割方値下がりしたため、シンガポール住宅不動産市場の外人バイヤーの半ばを占めるインドネシア人やそれに次ぐマレーシア人バイヤーへの影響が懸念されている。
両国のバイヤーが市場から撤退すれば、低迷するシンガポールの住宅市況が一層冷却するとの観測もなされているが、アナリストらは、外人バイヤーの需要は総じて市場の1割を占めるに過ぎず、またその関心はオーチャード・ロード周辺の高級コンドミニアムに集中しているため、郊外の99年借地権付き物件等は影響を受けないと語る。
ナイト・フランクのアナリストは、「超富豪が大半を占めるインドネシアのバイヤーは20%程度の値上がりに、頓着しない。これに対してマレーシアのバイヤーは強力な購買力を有する正真のバイヤーとは言えない」と指摘した。
シンガポール不動産代理業者協会のチュア会長は、インドネシアの富豪は元々ルピアを信用せず、余剰資金は米ドル等に転換していると語る。
香港の通貨は堅調を保っており、域内通貨の下降で、香港投資家には、チャンスが到来したと言えるが、その実香港からの投資は往時に比べ顕著に減少している。チュア氏はこの点に関して、香港バイヤーは極めて投機的で、域内の経済そのものが低迷しているこの時期には観望姿勢を採っているものと予想した。
シンガポール不動産鑑定士・評価士協会(SISV)の報告によれば、今年第3四半期に、インドネシア人により購入されたコンドミニアム/アパートは約40ユニットで、第9、10,11郵政区に集中、1ユニット当たりの平均価格は193万Sドル以上となっている。また外国人のコンドミニアム購入件数の取引全体に対する比率は、昨年5月の投機抑制措置導入後もずっと8~12%水準を維持し、極めて安定していると言う。
しかし、リチャード・エリスの幹部は「通貨危機の影響は早くて第3四半期、本格的な影響は第4四半期に初めて現れるため、現時点でその影響を云々するのは時期尚早」と指摘した。(LZ:10/7)
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