SEAnews 1997-10-01 ArtNo.12235

【シンガポール】ナットスチール・エレクトロニクスLtd(NEL)は月曜(9/29)、今年に入って以来最大の1億株を1株1.43Ｓドルで公開した。
ＮＥＬのチェスター・リン重役(CEO)によると、1億株の内6000万株は機関投資家にオファーされ、残りの4000万株が公募に付された。調達される1億3870万Ｓドルは、株主からの借り入れや銀行融資の返済、新設備の購入、運転資金に充当される。ＮＥＬは製造能力、サービス領域、最終製品組立業務等の拡張を通じてその収益基盤を拡大すると言う。
公募幹事の1行、ＤＢＳバンクによると、14.9倍の株価収益率(PER)は、高度成長を遂げる電子企業としてはそれほど高率とは言えない。電子契約製造業者ベンチャー・マニュファクチュアリングの先週金曜の株価は予想利益の29.2倍に達した他、ＳＣＩシステムズ・インク、Solectron、Jabil Circuit等のＰＥＲも20倍以上と言う。
機関投資家の関心は旺盛で、私募にかけられた6000万株には6億株以上の応募が寄せられた。
ＮＥＬの前身、シノテッックは、19981年に創設され、ＰＣ(ﾊﾟｿｺﾝ)やＰＣ周辺装置の製造を手がけていた。ＮＥＬの親会社ナットスチールは1988年にシノテックを買収、2年後にＮＥＬに社名を改めた。
1993年に就任した現在のＮＥＬ経営陣は、ヒューレット・パッカード、コンパック、ＩＢＭ等、大手企業の契約製造業務に照準を合わせ組織の再編を図った。世界の多国籍企業が製品設計やマーケッティングに専心、製造業務への関与を縮小する中で、ＮＥＬの戦略は奏功、瞬く間に世界第6位の契約製造業者に成長を遂げた。
ＮＥＬの営業額は1993年以来年率54.9％に成長を遂げ、昨年は9億120万Ｓドルに達し、税引き前利益は同期間に350万Ｓドルから2000万Ｓドルに、5倍以上に拡大した。今年は年商12億Ｓドル、税引き前利益3470万Ｓドルが見込まれている。公募の締め切りは10月8日。2日後から取引が開始される。(ST,BT,LZ:9.30)