1995-04-12 ArtNo.1223
◆<星>円高で日本製品値上がり、日本人観光客の急増は望み薄
【シンガポール】円は年初以来シンガポール・ドル(Sドル)に対して14%上昇、このため一部の日本製品の値上がりが予想されるが、日本人旅行者の急増は期待できないようだ。
ニッサン車の販売を手掛けるタン・チョン・アンド・サン・モーター幹部は10日前まではニッサー・マーチの4000Sドルの値上げを予定していたが、今では7000Sドルに上方修正、もし円高が高進すれば、一層の値上げも有り得るとしている。エアコンからプリント基板まで傘下20社以上の業務を統括する日立アジアも短期的には値上げにより利益維持を図る他ないとする一方、同社は親会社の国際資材調達センターを務めており、円高は原材料の調達コストを引き下げる効果も果たしていると補足した。NECシンガポールの幹部は「大部分の製品の製造業務は既に海外に移転したが、ミニコンピュータやプライベート・テレコム・スイッチング・システムの製造はまだ日本で続けられている。しかし競争過熱で値上げも容易でない」と語った。これに対してキヤノン・マーケッティング・サービスの幹部は同社の扱う製品にはメード・イン・ジャパンは存在せず、直ちに値上げする計画はないとしている。 また旅行業界は円高で日本人の財布の紐は多少ゆるみ、ビジネス旅行者の増加も期待できるが、80年代のような日本人旅行者の急増は望めず、またブランド指向からバジェット指向に変化した旅行者のプロフィールが大きく変化することも期待できないとしている。(ST:4/11)
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