1997-09-15 ArtNo.12023
◆<星>上級相、新4極構造下の東南アジアの未来を展望
【シンガポール】リー・クアンユー上級相は、英国拠点の国際戦略研究所が12日当地で主催した東南アジアの安全問題に関わる国際会議の席上、中国、ロシア、そしてイスラム世界が、米国の世界戦略に脅威を及ぼす勢力として台頭しており、ASEAN諸国はアジア太平洋地域の枠を超えた4極構造の中で安定と繁栄の道を探らねばならないと指摘した。
アジアのほとんど全ての国は米国が域内に軍事的プレゼンスを維持するよう希望しているが、中国の主権に関わる台湾、チベット、香港問題に関しては、ASEANは米国の立場を支持していない。
ロシアは他の2つの勢力、中国とイスラム諸国に武器や軍事技術を供与する十分な力を備えている。イスラム諸国はパレスチナ問題が解決せぬ限り、イスラエルと衝突を繰り返し、世界波乱の原因で有り続けるものと見られる。
米国に脅威を及ぼす第3の勢力として中国がその力を増すことは避けられない。クリントン政府は、こうした中で中国との接触を深めると同時に日米防衛協力を強化し、域内諸国との二国間関係を拡大する政策を採用している。中国は米国のアジアにおける軍事的プレゼンスの強化に表向きは反対しているが、中期的にはこうした米国のアレンジを容認するものと見られる。
ASEAN諸国は今のところ共通の敵を持たず、中国が慎重な姿勢を維持する限り、こうした状況は持続する見通しと言う。
しかしリー氏は、日米防衛協力の対象地域に台湾海峡を含めることは無用で危険な措置と指摘した。こうした措置は台湾が中国との間に距離を保つベースを与えることになる。台湾人が独立の希望を抱かぬ限り、東南アジアは平和と安定を維持できると言う。(ST,BT,LZ:9/13)
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