1995-04-10 ArtNo.1202
◆<比>大統領調査委員会、シンガポールに再調査要求提案
【マニラ】ラモス大統領により設置されたフィリピン人メイド(フロア・コンテンプラシオン)処刑事件調査委員会はシンガポール当局に事件の再調査を求めるよう提案した。
ラモス大統領の承認を得て8日公開された報告書は“フロアが極度に不当な待遇を受けた犠牲者”で、“親友デラ・マガ殺害の罪で処刑されたのは誤り”とするとともに、「デラ殺害事件の再調査は、フロアに対する誤った判決を正し、真犯人を突き止めるためばかりでなく、シンガポールで就業するフィリピン国民の安全を確保するためにも必要」としている。同報告書は更に、「シンガポールの雇用主がフィリピン人メードに人間としての待遇を与えていないと言うことは常識になっている」とし、「にわかに富裕になったシンガポールでは利権のみが語られ、他人を思いやったり、人道を配慮する社会ではなくなっている。我々はフロアの犠牲により、シンガポーリアンが覚醒することを希望する」と述べている。また調査委員会はシンガポールは警察国家で容疑者を脅迫して自供を強いているとし、フロアが取り調べ前に薬物を投与され、看守は麻酔状態のフロアを強姦したとの、別のメードの証言を紹介している。委員会はまた労働省官員2人とフロアの調査期間にシンガポールに派遣された10人の官員の訴追を提案、ロムロ外相とコンフェソール労相の処遇に関しては大統領の判断に委ねるとしている。 一方、同報告書の内容を公表後記者の質問に応じた大統領委員会のEmilio Gancayco議長は、デラの死因に関する両国の検死結果及びデラの遺骨を点検するため、シンガポール政府に専門家チームの派遣を要求、もしフィリピン側の検死結果と異なる判断がなされたなら、第3者機関に意見を求める必要が有ると指摘した。また殺害されたマガの雇用主(ウォン・シンキオン)を容疑者として事情聴取する必要を指摘、更にシンガポール当局はコンテンプラシオンの調査期間中に医療検査がなされたか否か、自供が強要されたか否かも調査し、更に当該雇用主の兄弟もしくは従業者がチャンギ刑務所内にいないかどうかも確認せねばならないと語った。(敬称略)(ST,LZ:4/9)
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