SEAnews 1997-08-20 ArtNo.11692

【シンガポール】米国の消費者用ＰＣ(ﾊﾟｿｺﾝ)需要と欧州経済の動向が今四半期のＨＤＤ市況の行方を占う2要因と言う。
ディスク・ドライブ大手クアンタム・コープのヤング・スーン社長(ﾃﾞｽｸﾄｯﾌﾟ/ﾎﾟｰﾀﾌﾞﾙ記憶装置担当)は、「学校休暇や欧州の休暇明けの状況と、クリスマス需要のスタートの時期が問題で、昨年は8月末に市況が回復したが、今年も8月末にスタートするか、9月半ばまで持ち越されるか、この辺が今期の市況復調の程度を占う鍵になる」と指摘した。
スーン氏によれば、今年上半期にはＰＣ業界にインテルのマイクロプロセッサー新製品への移行に伴う混乱が生じ、ＨＤＤ業界の在庫レベルも異常に高まった。しかし最近の一連の値下げで同在庫は一掃できる見通しだ。
欧州の需要は例年夏期休暇時期の6－8月に軟化するが、今年は4月から早くも不振に陥った。第2四半期のＨＤＤ業界の不振は主に欧州市場の低迷によるもので、例えば欧州ビジネスはこれまでインテル社営業額の30％を占めていたが、今年第2四半期には24％に下降した。こうした傾向はＰＣ部品業界全般にも当てはまる。クアンタムの欧州売上も第2四半期には10％以上の落ち込みを見た。とは言え同社はアジア市場の好調とテープ・ドライブ・ビジネスの堅調に支えられ、第2四半期に過去最高の9650万米ドルの利益を計上、売上も25％アップした。
上半期には競争過熱と設備能力過剰でハイエンド・ドライブの在庫水準が異常に高まった他、デスクトップ・ドライブ市場も欧州方面の不振から顕著に軟化した。デスクトップ・ドライブ価格は同期に5～10％下降、ハイエンド・ドライブも二桁の値下がりを見た。
スーン氏は下半期の市況について概して楽観しているが、9－10月の成績が鍵になるとしている。クアンタムの製品はシンガポール、日本、アイルランドの松下寿の工場で製造されており、シンガポールと日本が各45％を占めている。しかしジュロン工場における生産ラインの増設で、ここ6ヶ月についてはシンガポールでの生産が半ばを占めると言う。(BT:8/19)