1997-08-18 ArtNo.11660
◆<星>域内通貨波乱終息すればSドルは再び値上がり:上級相
【シンガポール】シンガポール経済のファンダメンタルは健全なため、域内通貨市場の波乱が終息すれば、Sドル相場は再び上昇基調を回復する。
リー・クアンユー上級相は15日、自身の選挙区タンジョン・パガルにおけるナショナルデー祝賀会の席上、以上の見通しを語った。それによると、タイ政府はバーツを支えるために数十億ドルを費消、マレーシア政府もMドル防衛のため準備金の12%を失ったとされるが、シンガポールはそのようなことがない。これはシンガポールの財政収支や総合収支が常に黒字を維持、投資家がシンガポール経済を信頼しているためである。
しかし某国際銀行家によれば、タイとフィリピンに通貨危機が発生した際、香港の取引員が先ず情報を察知したのに対し、シンガポールの取引員は数時間後にやっと何が生じたかを理解できた。シンガポールがASEANのビジネスマンや企業のためのビジネス・ハブとしてより重要な役割を演じるには、こうした点で香港を見習う必要がある。
世界貿易機構(WTO)は6~7年以内に世界の金融市場の全面的な開放実現を目指しており、シンガポールの地場銀行界は向こう3~5年内に政府の保護無しでも生存できるよう競争力を強化する必要がある。
航空事業のグローバル化が急速に進んでいるが、世界的規模で競争に対応できる財力を備えた航空会社は1社も存在しない。こうした中でシンガポール航空(SIA)も他社と提携して国際競争に立ち向かう必要がある。
最近英国航空(BA)を利用した際、机上の男女スタッフはいずれも2カ国語を操り、サービスも顕著に改善していた。先進国の国民は失業率の上昇と通貨の軟化が進む中で、積極的にそれ自身の競争力強化に取り組んでおり、劣性挽回に成功している。
SIAの管理職やスタッフもこうした状況に対処し、不断に競争力を高める必要が有るが、見たところSIAの警戒心は十分とは言えないと言う。(ST,BT,LZ:8/6)
|