1997-07-18 ArtNo.11286
◆<星>スタンフォード・プレス、印刷事業縮小し、多角化
【シンガポール】アンデルセン・コンサルティングとビジネス・タイムズが集計したシンガポールの未上場企業番付“エンタープライズ50”のトップにランクされた地元印刷出版会社のスタンフォード・プレスは16日、2000万Sドルを投じてカラン・バルに建設したプレス・センター(本部ビル)をオープンした。
電子メディアの成長や国内景気全般の不振で、シンガポールの印刷産業はますます厳しい環境に直面しているが、スタンフォード・プレスは新本部ビルに最先端の情報技術を導入、電子リンクを通じた国際市場の開拓を目指すとともに、マーケッティング・キット(例えばコンピューターのアクセサリー・セット等)の印刷/製造/包装を手がけるキッティング部門やCD-ROMの製造/デジタル・ビデオの編集/ディスクの複製等を手がけるマルチメディア・サービス部門も設け、下流部門における多角化を図っている。
1963年にスタンフォード・カレッジの構内印刷部門としてスタートした同社は、過去5年間年率30%の売り上げの伸びを実現してきたが、今年上半期の成長率は20%にとどまった。
同社はシドニーの医療センター、マドラスの糖尿病センター、バンガロールのスーパーマーケットの経営に各25%を出資、異業種への進出も図っている。シンガポールの印刷出版業は1981-93年の間は国内総生産(GDP)の伸びを上回る成長を遂げてきたが、94年以降はこうした趨勢が逆転、1995年の成長率は僅か0.2%にとどまった。
この日の開所式のゲストを務めた経済開発局(EDB)のフィリップ・ヨー会長も、印刷出版業界は、伝統的製品の品質や価格で同業者と競争するだけでなく、テレコミュニケーション、デジタル、情報技術(IT)領域への投資を拡大すべきだと指摘した。(ST,BT,LZ:7/17)
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