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1997-06-10 ArtNo.10807
◆<星>デュポン、アジア市場開拓で中/印/ASEANに照準
【シンガポール】昨年のデュポンの世界売上げほぼ440億米ドルに達したが、アジア売上げは全体の9%の35億米ドルにとどまった。とは言え、アジア売上げは今後年率20%の成長を遂げ、2002年には90億米ドルに達するものと予想されている。
デュポン・シンガポールのポール・ラーソン重役(MD兼アジア太平洋業務担当副社長)によれば、中国、インド、そしてASEANが、こうした成長の源泉になるが、これらの3地域はそれぞれ問題も抱えている。中国では、高等教育を受けた人材の不足、言語問題、国営体制から引き継がれたビジネス慣行が上げられる。デュポンはインドでは現地合弁でゴアにナイロン工場を設けたが、パートナーとの関係不調や環境保護団体の反対に遭い、マドラスに移転を強いられた。同社にとってはアジアにおける合弁事業の唯一の失敗例となった。
シンガポールは、デュポンにとってアジア太平洋地域最大の拠点で、合計10億8000万Sドルが投資され、4工場が設けられている。デュポンがシンガポールにとどまり、当地をアジア市場開拓のベースとするか否かは、向こう12ヶ月間に結論が下される。目下経済開発局(EDB)と関係問題を協議しているが、デュポンは3~4のアイデアを有し、これらはシンガポールへのより多くの投資につながる。シンガポールは1つのオプションで、同社は目下、シンガポールと他のオプションを天秤に掛けている。
向こう5~10年間には複数のクラッカーが建設され、化学原料供給源の興味深いミックスが形成される。シンガポールはこうした点からも極めてユニークで興味深い環境を備えている。ビジネス・フレンドリーな法律制度、英語教育を受け訓練の行き届いた専門職の存在等は、快適なビジネス環境を形成しているが、賃金コストと転職率の高さが、その一方で経営者を苛立たせている。デュポンが経験したシンガポーリアンの転職率は、この種の製造業の生存を困難に陥らせるほど深刻なものである。しかしながら依然としてシンガポールはデュポンのある種の投資を誘致するチャンスを備えており、その投資額は数千万から数億ドルに及ぶと言う。(ST:6/9)
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