1997-05-07 ArtNo.10385
◆<星>CAM取締役に不正貸付活動の疑い:E&Y報告書
【シンガポール】CAMインターナショナル・ホールディングズの監査人アーンスト&ヤング(E&Y)は、大蔵省に提出した報告書の中で、同社のレイモンド・チョー会長とン・チーティオン財務担当重役は子会社を通じて貸し付け活動を行い、CAMの資産を不正に運用した疑いが有ると指摘している。
これら取締役は、刑法405条及び409条の下、有罪と認められれば、終身刑もしくは懲役10年と罰金が科される恐れが有り、シンガポールの公開企業役員が絡んだ最も重大な背任行為になる可能性があると地元紙は報じている。
シンガポール証取(SES)が5日公表した関係報告書の中で、E&Yは、「CAMが十分な資料を提供せぬことから、大連精密工業(Dalian Precision Industries)、タワタ・プレシジョン・インダストリーズ、トーホー・インターナショナルの3社に対する債権が回収可能かどうかを判断することは困難」と指摘している。 大連精密工業は1996年9月末時点で、CAMプレシジョン・エンジニアリング・ジョホールに対してカスティング・モールド等の購入代金1160万Sドルが未返済で、タワタもCAMに680万Sドルの代金支払い義務が有る。またトーホーはCAMインターナショナル・トレーディング・アンド・インベストメント・シンガポール(CIS)に対して307万Sドルの債務を有する。同金額はCISがトーホーのエンジン・オイルの独占流通権を得るための証拠金として振り込まれたものと言う。
E&Yは昨年12月にこれらの取引に関してCAMに説明を求めたが、満足な回答が得られなかったため、今年3月7日と同11日にリマインダーを送付した。しかしCAMは同月13日にE&Wや共同監査人のチョン・キー・サン&Coがまだ承認していない年次報告書を発表、同日CAMのン財務担当重役はE&Yに債務者3社からCISの口座に1900万Sドルが振り込まれたことを示す銀行証明を送付した。しかしこれらの支払いはいずれも3月初旬にキャッシュ・チェックにより行われており、実際に誰が支払いを行ったかは確認できなかったと言う。
E&Yはこうした点から「香港の航空貨物コンプレックスを所在地とする大連精密工業や、会計会社のオフィスに仮住まいし、ジョホール州でコンピューター部品の製造/貿易を手がけるとされる個人経営会社タワタ、さらにはメール・アドレスしかない日本拠点のトーホーに多額な信用を供与するとは信じ難く、むしろこれらの企業を隠れ蓑に、不正な貸付活動を行っていた疑いがある」と結論している。(ST,BT,LZ:5/6)
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