1997-05-03 ArtNo.10349
◆<印度>スズキ、ハルヤナ州合弁事業の拡張停止要求
【ニューデリー】スズキの鈴木修社長は先週、インド工業省に書簡を呈し、資金調達方法や出資率問題が決着していないことを理由に、Maruti Udoyog Ltdの1500クロー(10万台増産)拡張計画を即時停止するよう求めた。
消息筋によれば、鈴木社長の書簡は、インド最大の自動車会社の支配権益を巡るスズキとインド政府の紛争が新段階を迎えたことを示している。
インド政府は、これ以前に拡張計画のための増資を引き受けるゆとりはなく、また50%の持ち分を縮小する考えもないことを明らかにしている。Maruti Udoyonの取締役会は昨年の会議で国際預託証券(GDR)もしくは米国預託証券(ADR)の発行を通じた資金調達の可能性を検討する方針を決めたが、政府の要求で同方針は議事録から削除されたとされる。インド政府は、鈴木社長がムラソリ・マラン工業相との会談においてデット・ファイナンスの採用を認めたとしている。
その後スズキを代表するRC Bhargava専務取締役(MD)を含むMaruti Udoyog取締役会メンバー2人の交替で、両者は不信感を一層高めていたが、Maruti Udoyog経営陣はハルヤナ州グルガオンにおける拡張計画を続行していた。
Maruti Udoyogのハイエンド市場向けMaruti Esteemの販売台数は前年の4万3000台から1996/97年度の2万3000台に激減、こうした中でスズキは向こう5年間に7000クローを投じてインド事業の拡張と近代化を図る計画を立てていた。しかし観測筋は現在のインドの政治状況では政府がスズキの持ち分拡大を認める可能性はなく、両者の紛糾が短期的に解決する見通しは薄いと評している。(IE:5/1)
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