SEAnews 1997-04-29 ArtNo.10296

【シンガポール】今月初に大量のディーゼル油を購入して注目されたシンガポール拠点の石油トレダーは中国市場におけるシェア拡大を目指しているものと見られる。
Hin Leong、その姉妹会社サンコー、そして丸紅インターナショナル・ペトローリアムは、3月3日以来約1700万バレル、およそ5億米ドルのディーゼル油を購入したが、先週木曜には更に244万バレルを買い増した。業界筋は、ヒンリョンが中国エンド・ユーザーによる注文取り消しのリスクを主要トレーダーに代わって負う役割を務めていると評している。
香港方面の消息筋は、香港から中国へのディーゼル油輸出は安定しているため、ヒンリョンが香港トレーダーのシェアを奪うことはないとしている。しかしシンガポールのトレーダー筋は、急速に拡大する中国の需要の多くはヒンリョンにより刈り取られていため、香港メジャーがそのシェアを拡大することはできないと見ている。
中国が2月以来目立ったディーゼル油の購入を行っていないとの観測が伝えられた際、市場はヒンリョンらが、中国向け製品の滞貨を域内市場で処分し、値崩れを生じさせるのではないかと懸念した。しかし先週金曜、中国通関当局が発表した数字は、中国が3月に79万3252トンのディーゼルを輸入したことを示しており、中国はディーゼル油の輸入を停止していないことが明らかになった。中国のバイヤーは5月、6月の保守に伴う製油所の操業停止に備え、輸入を拡大する見通しで、観測筋はヒンリョンがこうした需要の拡大に乗じてその販売を拡大するものと見ている。(BT:4/28)