1997-04-29 ArtNo.10294
◆<星>ペイメント産業がスマート・カードの最大市場に
【シンガポール】先週当地で開かれたアジア・カード・テクノロジー(ACT)会議に出席した業界リーダーらは、ペイメント産業が2005年までスマート・カードの最大市場の地位を維持するとの点で意見の一致を見た。しかし電子ペイメント産業向けチップ・カードの成長は鈍化しつつ有り、何がスマート・カードの成長を阻害しているのかと言う点が、同会議の焦点の1つになった。
米国を拠点とするハイパーコム・コーポレーションの創設者ジョージ・ウォールナー氏は、5セントの磁気ストライプ・カードを代替するには、スマート・カードはあまりにハイコストと指摘した。同氏によれば、コストを引き下げるにはユーザー・ベースを拡大するしかないと言う。
しかしフランス企業GemplusのMarc Lassus重役(CEO)は、スマート・カードの利用拡大は、マーケッティング次第で、利便性が最大限に発揮されれば、多少のコスト高は問題にならないと指摘した。同氏によれば、チップの記憶容量は18カ月ごとに2倍に拡大しており、カード1枚のコストは同水準とは言え、その機能は益々拡大している。特にJava技術がオープン・システム下の多くの問題を克服したため、カードはオペーレーターやターミナルから独立して利用できるようになった。Java技術は1枚のカードに新たな機能をダウンロードすることを可能にし、ユーザーは何枚ものカードを持ち歩く必要がなくなったと言う。
スマート・カードの将来に関しては、今後も欧州が他をリードするが、アジア市場は1994ー2000年の間に年率44%の成長を遂げ、2000年までに世界市場の28%のシェアを占めることになる。Gemplusはこうしたアジアの潜在市場を開拓するため、最近シンガポールに研究開発センターを開設、シンガポール拠点のセキュアカード・テクノロジーと共同で製造能力の拡張も図っている。同社のアジア太平洋地域営業額は昨年142%の成長を見たと言う。(BT:4/28)
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