SEAnews 1997-04-16 ArtNo.10140

【シンガポール】シンガポールの政府系海運会社ネプチューン・オリエント・ラインズ(NOL)は、米国の海運会社ＡＰＬ Ltdの全権益を8億2500万米ドルで買収することで関係方面と合意に達した。これによりＮＯＬは、コンテナ船76隻を含む113隻の船団を傘下に収める、年商60億Ｓドルの世界最大級の海運会社に変身する。
ニューヨーク証取及びパシフィック証取上場のＡＰＬは、コンテナ輸送等を手がける国際的にも指導的な運輸／ロジスティクス会社で、ＮＯＬはＡＰＬの2460万株を過去90日の平均株価に43％のプレミアム付けた1株33.50米ドルで買収する。ＮＯＬによると、米国におけるこの種の企業買収のプレミアムは平均45％で、今回の買収価格は決して高くない。ＮＯＬは買収資金を主に借り入れにより賄うため、借り入れの自己資本に対する比率は今日の2倍から3.9倍にジャンップするが、同買収を推奨したゴールドマン・サックスによれば、規模の経済性実現に伴い年間少なくとも1億3000万米ドルのコスト節約が見込め、またＡＰＬの再上場も可能なことから長期的に債務は軽減すると言う。
アナリストは一様にＡＰＬ買収が長期的にＮＯＬの業務に利益を及ぼすとする一方、短期的には支出の急増に比して、収益の拡大はそれほど望めないことから、決して大きなプラスにはならないと評している。(ST,BT,LZ:4/15)